2009年3月12日木曜日

北大Fieldnet 第二回研究会 開催!


植物学の西田先生(中央大)と、文化人類学の若林さん(東大院)が総括班の海外派遣の枠で08年末から09年始にかけて共同調査してきてくださった成果をふくめたお話をしてくださいました。
今回は、Fieldnet構築委員のメンバーもそのまま出席。

 ←西田さんが話し中。FSCセンター長(手前)もかけつける。

若林さんも、初めての北海道で雪道を滑りつつ低温研まできてくれました。

人類学の若林さんは、アルパカ・リャマの牧畜社会の研究をしておられます。今回、西田さんの植物学からのコメントから、新しい視点を得られたと。
あらためて、調査地であるペルーの高地はとりわけ他と比べて環境が厳しく、外来種が根付かないのだろうという西田さん。家畜の種と環境との関係も、牧草のすくない高地でリャマ・アルパカの飼育が可能なのも、彼らの肉球はウシやヒツジとは異なり、牧草地を傷めないという特性があるからではないか、とも。ウシやヒツジの蹄は牧草を傷めるので増えると環境に悪い。ヤギは植物の根まで食べてしまう。


Fieldnetのメンバーからは、サステナブルな視点として、「ここに適したやりかた」とは数世代にわたって行なわれてきた結果なのか、いつ頃からなのか?と。たしかに、自然地理の人たちともしともに仕事ができるとすれば、変化についてのスケールを大きく考えていく、というのがひとつの鍵だと思う。
若林さんの答えは、インカの頃からこうした牧畜は行なわれているとスペインの植民地行政官によって書いてあるくらいだ、とのことだった。

西田先生からは、今回は若林さんのフィールドにお邪魔するというかんじで、なるべく自分が影響をあたえないように、控えめに彼のあとについていく形ですごした、とおっしゃっていた。
今回の共同調査を経験しての総括的感想は、
●人類学は、もっと生物学、生態学などの理系も引き込んで研究するといい、ということだった。
●また短期滞在型の調査をする理系の人も、長期滞在型の調査をする人類学の人とくめば、人類学者の調査地を足場により深い研究が展開できる可能性があるのでは、と。
●たとえばチリなどは若手研究者をもりあげようと頑張っているが、日本はもっとそうしたカウンターパートの研究者の養成にも関わってもいいのではないか。外来種の侵入、環境の厳しさ、生物学的にみてもおもしろいことがたくさんある。
●ほかの地域との比較もできる。たとえばヒマラヤとアンデス。ヒマラヤは隆起がはやく複雑な高山植物などが特殊化しいまは多様性に富んでいるが、アンデスはそれに比べあとで出来たものであり、植生もシンプル。

→人類学が別の分野とのコラボを考える場合:地球規模の環境の歴史と人々の生活、その様式、文化の比較はたしかにもっと人類学的研究の広がりの可能性を秘めていると感じたのでした。

今後Fieldnetの活動として海外での共同研究をやる場合は、学問的なコラボの具体的可能性を準備段階からもう少しつめていき、そして使用機器などのテクニカルなことについても、もっと公開して逐一話し合えるような場にしたいと思いました。

おふたり、お疲れ様でした、そしてありがとうございました。
また機会をもうけ、異なるトピックについてももう少しくわしくおうかがいしたいものです。

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